公正取引委員会:「人材と競争政策に関する検討会」報告書

平成30年2月15日、公正取引委員会が「人材と競争政策に関する検討会」報告書を公表しています。

個人が個人として働きやすい環境を実現するために、人材の獲得をめぐる競争に対する独占禁止法の適用関係及び適用の考え方を理論的に整理したものです。

スポーツ、演芸などの分野における具体例を多く挙げて分析されており興味深い内容となっています。

(具体例)

【松竹株式会社ほか5名に対する件(昭和38年3月20日不問決定(公正取引委員会))】

松竹株式会社、東宝株式会社、大映株式会社、東映株式会社、株式会社新東宝及び日活株式会社の6社(以下「6社」という。)は、いずれも映画の製作、配給及び興行を営む者である。6社のうち日活株式会社を除く5社は、昭和28年9月、5社以外の映画製作業者が5社と雇傭又は出演契約をした芸術家又は技術家を出演させて製作した映画を5社の系統上映館に配給しない旨の条項を含む協定を行なったが、昭和32年7月18日、この協定に更に日活株式会社が参加して前記5社の協定と同趣旨の協定を締結した。この協定に基づき、6社は、独立映画株式会社が東映株式会社と雇傭契約をしていた芸術家を出演させて製作した映画を、同年7月下旬、6社の系統館に配給することを拒否した。

以上の事実によれば、6社は、それぞれ、6社以外の製作業者が6社と契約している芸術家又は技術家を使用して製作した映画を、不当に6社の系統館に配給しないことにしているものであって、法第19条(一般指定の1【不当な取引拒否】該当)に違反する疑いがあった。

しかしながら、株式会社新東宝がこの協定から脱退したのを機として、5社は、昭和38年2月11日、前記協定中違反の疑いのある条項を削除し、その後このような行為を繰り返しておらず、違反被疑行為は消滅したと認められたので、公正取引委員会は本件を不問に付した。

「土壌汚染・地中障害物の損害賠償」

2022年3月


「Q&A子の引渡し請求の実務と法理」

2023年4月


「Q&A共有物分割請求訴訟の実務と法理」

2024年2月


「Q&A住民訴訟の実務と法理」

2024年11月

ページトップへ